情報をわかりやすく伝えるという点で、図式化するのは大変有効な手段と言っていいかもしれません。中でもよく使われるのが地図のような日常の使用頻度が高い行政区画を土台とした表現形式でしょう。これはデータ処理上よく使われる分類法に点、線及び面と言った分け方のうち、面と言った広がりをもったデータが得られる場合その分布状況をわかりやすく表現する手段として有効です。このような場合に使われる作図法として知られている中で「カルトグラム」という手法があります。これは、例えば行政区画を境界とする地形図をある意味で変形し情報の表現を優先した作図法ともいえるもので、「距離カルトグラム」と「面積カルトグラム」の2種類が存在します。中でも、面積カルトグラム(さらに連続と不連続の2種類が存在)を使われることが多いため、その作図手法について簡単にご紹介したいと思います。前提として、行政区画という境界(表示するかどうかはともかく)という各エリア内でのデータの特殊性を特に強調したいときに使われるものとします。例えば関東地区と呼ばれる1都6県で、ある統計データの合計と言った量を強調したい場合と分布状況というような広がりを強調したい場合の2種類が考えられます。前者の場合は量の多少で行政区画という位置関係は残しつつ、行政区画そのものは変形させて量の多少で面積を変えて表現してしまうものです。極論をいえば、データの種別次第では実際の面積が大きい都県よりも小さい都県の方が表示される面積は大きくなるケースもあり得るという事になります。一方の後者では行政区画という境界は残しつつ(表示するかどうかは別にして)その各エリア内で特に特異な分布状況を表現したい場合に有効です。具体的には人口密度の集中度合いを東京や神奈川といった行政区画内で特に密集しているエリアを強調して図式化するような手法を指します。いずれにしても、強調したい情報を的確に表現できるようにその作図法を選定することが大切となります。